ツーリング中にすれ違うライダー同士のピースサインが起源です
天気の良い休日に山道や海岸沿いなどツーリングの名所を走っていると反対車線を走ってくる見知らぬライダーから突然手を振られたりピースサインを出されたりすることがあります。これはバイク乗りの間で古くから根付いている独自の挨拶文化であり現在ではインターネット上の掲示板から生まれたヤエーという愛称で広く親しまれています。もともとは英語でイエーイと気分が高揚していることを表す単語のつづりを間違えて書き込んでしまったことがきっかけで定着したと言われていますがその根底にあるのはお互いの道中の安全を祈願するという温かい気持ちです。かつてはピースサインを送るのが主流でしたが時代とともにジェスチャーのバリエーションも増えており大きく手を振る人もいれば軽く片手を挙げるだけの人や指で合図をする人などスタイルはライダーによって本当にさまざまです。バイクというむき出しの乗り物で同じ時間を共有している者同士だからこそ生まれる不思議な連帯感はこの挨拶を通じてさらに深まります。すれ違う一瞬だけのコミュニケーションではありますがこれがあるだけで一人で走っていても決して孤独ではないと感じさせてくれる素晴らしい文化として多くのライダーに愛され続けています。
無理のない範囲で安全第一に手を振るのが最大のルールです
この挨拶文化はとても楽しいものですが何よりも優先しなければならないのはバイクを安全に運転し続けることです。挨拶をすることに夢中になってしまいハンドルの操作がおろそかになったりブレーキをかけるタイミングが遅れてしまったりしては本末転倒です。とくに急なカーブが続く峠道や見通しの悪い交差点付近そして交通量の多い市街地などでは運転に高度な集中力が求められますので無理に片手を離すようなことは絶対に避けてください。手が離せない状況で対向車線のライダーから挨拶をされた場合はヘルメット越しに軽く会釈をするだけでも相手には十分にあなたの気持ちが伝わります。またクラッチ操作が必要な左手ではなくアクセル操作を担う右手で無理に手を振ろうとするのも危険ですのでやめておきましょう。基本的には安全に余裕を持って直進できる見通しの良い道路で左手を軽く挙げるか振るのがもっともスマートで安全な方法とされています。挨拶はあくまで義務ではなく心と運転に余裕があるときにだけ楽しむおまけのようなものだと捉えておくのが長くバイクライフを楽しむための秘訣です。
返してもらえなくても落ち込まずに気楽に楽しみましょう
勇気を出して自分から手を振ってみたものの対向車のライダーから何も反応がなくて素通りされてしまうと少し寂しい気持ちになるかもしれません。しかし挨拶が返ってこなかったからといって相手が意地悪をしているわけでは決してありませんので落ち込む必要はまったくありません。相手のライダーはたまたまギアチェンジやブレーキの操作に集中していて片手を離す余裕がなかったのかもしれませんし単純に道からの風景に見とれていてあなたの挨拶に気がつくのが遅れてしまったというケースも非常に多いのです。また初心者ライダーで運転そのものに必死になっていて周りを見る余裕がない状態のときもありますしベテランライダーの中にはあえて自分からは挨拶をしないという静かなスタイルを貫いている方もいらっしゃいます。挨拶は返ってきたらラッキーくらいの軽い気持ちで行うのが一番です。十回手を振って一回でも笑顔で振り返してもらえたらその日のツーリングは大成功だと思えるくらいの心の余裕を持っておくと次もまた自然な流れで挨拶を楽しむことができます。
初心者こそ勇気を出して挨拶してみると感動が待っています
免許を取り立てでまだバイクの運転に不慣れな時期はすれ違うライダーに挨拶をするなんてとてもハードルが高いと感じるかもしれません。しかし運転操作に少しずつ慣れてきて直線道路で周囲を見渡す余裕が生まれてきたらぜひ一度自分から対向車に向けて小さく手を挙げてみてください。そしてその手が相手のライダーによって同じように振り返された瞬間の嬉しさはきっとバイクに乗ってよかったと心から思える特別な体験になるはずです。ヘルメットの中で思わず一人でニヤニヤしてしまうほどの感動がありそのたった一回の挨拶がきっかけでその日のツーリングの思い出が何倍にも輝き始めます。年齢も性別も乗っているバイクの排気量もまったく関係なくただ二輪車に乗っているという共通点だけで見知らぬ誰かと一瞬で心を通わせることができるのはバイクという乗り物だけが持つ唯一無二の魅力です。安全運転を第一に守りながらもぜひこの素敵なコミュニケーションの輪に加わってツーリングの楽しさをさらに広げていってください。

